抵当権抹消登記の前提としての抵当権者の組織変更、抵当権者の合併

住宅ローン融資を受け不動産を購入し、住宅ローンを完済
した場合、金融機関から抵当権の抹消の書類を受け取る事
が出来ます。

この場合、抵当権者たる金融機関につき、抵当権設定時と
現在とで、商号や本店が変わってしまっている場合や、金
融機関に合併が生じている場合等があります。

この場合、抵当権者たる金融機関に関しての商号や本店の
変更の登記を経なくても抵当権を抹消出来るのか?合併登
記を経なくても抵当権を抹消出来るのか?
結論、商号や本店の変更に関しては当該変更の経緯の分か
る会社の登記簿謄本(ここでは登記簿謄本と言う表現を用
いさせて頂きますが、実際は一部事項証明書や閉鎖事項証
明書等です)を添付する事により抹消登記が可能です。
但し、金融機関に合併が生じている場合には合併後の日付
を原因とする抵当権の抹消登記に関しては、前提として当
該金融機関の合併登記を申請しなければなりません。
合併登記の費用は金融機関が司法書士報酬も含め支払って
くれるので、こんな場合は司法書士に依頼なされるのが
いいでしょう(一般の方が合併登記に必要な登録免許税を
立替えてまでやる意味もないでしょうし、万一登録免許税
を一時立替えても、報酬を得る事は司法書士法上無理です
ので)。

以上は一般の方向けの情報ですが、
先日取り扱わせて頂いた事案において、不動産の売買によ
る所有権移転の登記の前提として抹消すべき抵当権者とし
て、「明生信用保証株式会社」と言う会社が登記なされて
おりました。現在は当該商号では存在しない会社であるも
のの、現在の会社が分からない。
ここからはプロ向けの情報となりますが、
当該会社、平成14年3月1日に組織変更し、現在は新
日本橋信用保証有限会社となっております。本店も平成
26年6月30日に東京都中央区から山口県周南市に移転
しております。
組織変更の場合は抵当権抹消登記の前提として当該事実
を登記する必要はありません。

以上ご参考まで。

【令和1年11月12日追記】
本件につき、不動産仲介業者様又は金融機関様よりお問い合わせを頂く事が非常に多いですが、いつもお付き合いのある司法書士であれば通常は上記のような事は対応可能なはずですので幣事務所取引先様以外の事業者様からの本件についてのお問合せはお断りいたします。何卒ご容赦下さい。

前の記事

住宅購入の際の諸費用